株式会社オフィステッド
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第4回:インコタームズと価格建て


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   前回第3回では、貿易における交渉の作法や特有の用語を、ご紹介しました。

   今回は、専門用語であるインコタームズについて、解説していきます。
   FOB香港などと言っていることを、聞かれたこともあると思いますが、その用語です。
   特段難解なものではありませんし、常について回るものなので、知っておくと便利です。
   インコタームズ自体は、通例で使われている意味と、厳密論ですこし定義がズレつつあり
  ますが、そのことをあまり気にする必要は無いと思います。
   むしろ、本来の重要性は、世界で広く共通に使用されている用語認識であり、売側と買側
  の費用負担の範囲と、貨物の受渡し地点(貨物の危険負担の範囲)の明示が、国の違いに
  関わり無く、同一の理解で出来ることにあります。
   それでは、以下、あまり細かくなりすぎないように、お話したいと思います。




インコタームズとは

  FOB、CIFなどと称される貿易条件は、英語ではTrade Termsと言い、取引条件、交易
 条件、あるいは建値(たてね)と言われるものです。
  これらの貿易条件は、略号で表現され、貨物の受渡し場所と、物流費用の負担範囲、保険
 加入の分担が明示されるので、貨物の取引価格算定の基礎となります。
  異なる国毎に解釈が異なりますと紛争の原因となりますので、国際商業会議所(ICC)が
 貿易条件の解釈に関する国際規則として制定したものが、インコタームズ(Incoterms)で、
 InternationalのInと、CommerceのCoに、条件を意味するTermsを組合せての造語名称です。
  現在は、4類型13条件が制定されており、2000年版が最新となります。
  以下に、13条件の呼称だけ列挙しておきます。
  なお、説明の中に、国際運送費と、貨物保険の支払い分担が出てきますが、これは売主が国
 際運送費を事前に一端支払うことを意味しているものの、買主にとって国際運送費が無料(よ
 く言う送料無料)で売買が成立した訳では無く、商品単価に上乗せされ、(商品が無事届いた
 場合は)結果として最終的には買主が支払うものですので、勘違いのないようにして下さい。


      ■E類型:出荷地渡
       売主が、売主自身の施設において、物品を買主に提供するのみの条件
        □EXW(Ex Works)       − 工場渡条件

      ■F類型:運賃・保険料買主負担
       売主が買主によって指定された国際運送人(船会社、航空会社、複合運送人など)
       に物品を引き渡すことを求め、かつ主要国際運送費は、買主負担となる条件
        □FCA(Free Carrier)     − 運送人渡条件
        □FAS(Free Alongside Ship) − 船側渡条件
        □FOB(Free on Board)    − 本船渡条件

      ■C類型:運賃・一部保険料込み
       売主に運送契約を行う義務があるが、船積みおよび出荷後に起こった貨物の損害に
       ついては負担しない条件
        □CFR(Cost and Freight)        − 運賃込条件
        □CIF(Cost Insurance and Freight)  − 運賃保険料込条件
        □CPT(Carriage Paid to)       − 輸送費込条件
        □CIP(Carriage and Insurance Paid to)− 輸送費保険料込条件

        ■D分類:国境渡/場地持込渡
       売主が貨物を買主が指定する目的地(通常は、買主の国の倉庫など)まで輸送する
       のに必要な全ての費用と危険を負担する条件
        □DAF(Delivered at Frontier)     − 国境持込渡条件
        □DES(Delivered Ex Ship)       − 本船持込渡条件
        □DEQ(Delivered Ex Quay)       − 埠頭持込渡条件
        □DDU(Delivered Duty Unpaid)     − 仕向地持込渡(関税抜き)条件
        □DDP(Delivered Duty Paid)      − 仕向地持込渡(関税込み)条件
      
        注)Ex Works以外は、輸出者(売主)が輸出地での通関を行う



主要3条件のリスク移転

  上記の条件において、どの時点で、貨物のリスクが移転するかが、貿易の重要な要素と
 なります。具体的には、D分類以外は、出荷国側で貨物を受け渡した時点で、貨物のリ
 スクは買側に移転します。リスクが移転すると言うことは、貨物事故があった場合、す
 べて買側が負担することを意味します。物流保険費用と運送費用を売側が負担するC分
 類でさえも、国際運送業者に貨物を渡した時点で、売側からリスクが移転していますの
 で、注意が必要です。
  なお、このリスク移転は、商品代金や物流費用が、国際物流の間に毀損するリスクを
 どちら側がもつのかを意味していますが、商品の所有権が移転する時点を意味していま
 せんので、気をつけてください。
  つまり、インコタームズはあくまで貿易(物流)主眼の国際ルールなのです。


       □ExWorksのリスク移転
          この条件は、買側が工場へ貨物を取りに行く条件ですので、当然、買
          側が工場で貨物を受け取った時点で、リスクは買側に移転します。

       □FOB香港のリスク移転
          工場が中国在で、日本へ向けて船で輸出する場合、中国の工場が香港
          の港に停泊している船の船会社に貨物を渡した時点で、リスクが買側
          に移転します





主要3条件の費用構造

  インコタームズ条件のうち、FOB、CFR(C&F)、CIFの3条件が、特に良く活用されて
 いますので、その主要3条件を使って、各条件の費用構造について説明したいと思います。
  御社が商社で、大量消耗品を中間卸のある国内流通形態で小売店に販売するようなケー
 スを念頭にしてこう言った費用構造になるだろうと言うものを提示していますが、正解が
 あるものではありませんので、あくまで参考程度としてください。
  このモデルケースを見るときには、2つのアプローチで検討してみてください。
  一つは、商品の原価がどの程度になるのだろうかと言う視点、もう一つはFOB、CFR、CIF
 の費用負担の範囲がどこまでなのかと言う、純粋なインコタームズの定義確認の視点です。
  なお、下記図の中でCFRはスペースの関係上記載していませんが、FOBとCIFの間です。
  また、Ex−G(Godown)は指定の倉庫渡し、Ex−Wは工場渡しの意味で記載していますが、
 Ex−Godownは、インコタームズには規定されていない非公式条件ですが、慣習的には良く出てきます。
  3つの灰色の細い箇所は、国内物流費を意図して表現しています。


                  主要3条件の費用構造例
    主要3条件の費用構造図




通関分担

    これまで説明してきましたインコタームズは随分と種類がありますが、輸出国の通
   関(売側国)は、工場渡(Ex Works)でない限り、全て売側が輸出通関を行います。
    そして、D分類以外は、輸入国側(買側国)の輸入通関は、買側が行うことになり
   ます。
    各国で使用される言語や、通関上の慣習や意思疎通を考えれば、大変妥当だと思っ
   ています。




     連載もようやく折り返し地点まできました。
     次回は、貨物保険について説明したいと思います。






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